「今の学校って意味のない決まりが多くない?」
「教員も通り一遍なことしか言わずモヤモヤする!」
「無理やり型にはめこもうとしないで!」
普段、子どもを学校に通わせている中、ふとこんな疑問を持ったことはないでしょうか?
少子化で子どもがどんどん減少しているのに令和5年度の不登校児は過去最高の右肩上がりという現代、学校教育に疑問を感じる方も少なくないでしょう。
私は現在、中学生二人の母です。
かれこれ6年前に公立小学校の学校教育に疑問を感じ、当時開校予定だった私立大日向小学校へ転校するため、母子で長野県への移住を決めました。
義務教育の時期って子どもの生きる力を育む一番大事な時期です。
そんな中、いつの間にかその子らしさを失ってしまったらどうでしょうか?
気が付いた頃には大切な子どもが主体性を失っているかもしれません。
そこで、この記事では一般的な学校とは一線を画した独自の教育法である「オルタナティブ教育」について、我が家の体験を織り交ぜながらお伝えしていきます。
これからの教育のひとつの選択肢として、ぜひ、参考にしてください。
そもそも「オルタナティブ教育」という言葉を聞いたことがない方も多いのではないでしょうか?
私も長男が公立小学校に合わないかも…と疑問を持ち、他の選択肢があるのでは?と探しているときに初めてこの言葉を知りました。
「オルタナティブ」とは「主流な方法に代わる新しいもの」という意味です。
「オルタナティブ教育」とは一般的に公立学校で行っている画一的な集団教育とは異なります。
・「主体性を重んじる教育」
・「子どもの個性を活かす教育」
など独自の理念をもった教育のことです。
一般的に主流である公立の学校は文部科学省が定めた学校、いわゆる一条校です。
オルタナティブスクールは独自の理念や教育方針によって教育されているので、文部科学省の認可を受けていないことが多いです。
一部の限られた人に向けての特殊な教育をするのではなく一条校である学校の新しい在り方を示すことを目指している学校もあります。
我が家の子どもたちが通っていた大日向小学校は一条校でした。
大日向小学校は豊かな学び場であるために「自立する」「ともに生きる」「世界に目を向ける」ことを大切にしています。
学校は「小さな社会」であると想定していたので異年齢学級を取り入れており、学年を超えて子どもたち同士が教え合うのが日常です。
また、時間割がなく、週始めに子供たちが自ら一週間のスケジュールをたて、学びを進めます。
彼らは自ら問いを立てることを大切にし、その問いから探求的に学びを深めていました。
このようにオルタナティブ教育は個性や主体性を重視し、一般的な公立の学校では実施しにくい新しい取り組みをしていることが特徴です。
よくオルタナティブ教育は不登校や学校になじめない子どもの受け皿になると強調されることがありますが、私は現代の子どもたち全員に必要な教育だと思っています。
さきほどオルタナティブ教育とは主流に代わる新しいものと伝えましたが、これだけではなんともざっくりしていますよね。
実は「オルタナティブ教育」とは総称で独自の理念による教育方針に基づいて行われるため、さまざまな種類な種類があります。
オルタナティブ教育の種類は主にこちらの7つです。
・シュタイナー教育
・モンテッソーリ教育
・レッジョ・エミリア教育
・ドルトンプラン教育
・サドベリー教育
・フレネ教育
・イエナプラン教育
それぞれの特徴を簡単にご紹介します。
シュタイナー教育
ドイツの哲学者ルドルフ・シュタイナーが提唱した教育理念です。
子どもの発達段階(3段階)に分けて教育し、子どもの個性を尊重し、その能力を最大限に引き出すことを目的としています。
感情や意志に働きかける総合芸術で感性を豊かにします。
特定の強化を3~4週間じっくり集中的に学ぶ「エポック授業」で深い理解を促します。
・モンテッソーリ教育
イタリアの医師で教育課であるマリア・モンテッソーリ博士が考案した教育法です。
「子どもは自分で成長する力があり、自らの学びを邪魔しないこと」とし、大人は直接子どもに何かを教え込むのではなく、子どもの発達を知り、観察し、環境を整えます。
・レッジョ・エミリア教育
北イタリアの都市レッジョ・エミリアで生まれた乳幼児の教育方法です。
子どもそれぞれの個性を引き出す方法として「社会性」「時間」「子どもの権利」の3つの教育理念を唱えています。
アート活動やドキュメンテーションと呼ばれる記録を取り入れ、子どもが主体的に学びたい物事を真ん中に置きプロジェクト型の教育をします。
・ドルトンプラン教育
アメリカの教育家ヘレン・パーカーストが提案した教育法です
自主性と創造性を育む「自由」と社会性と協調性を身につける「協働」の2つの原理に基づく3つの柱「ハウス」「アサインメント」「ラボラトリー」を軸とします。
一人ひとりの個性をを大切にし、他者と協働しながら自分の意志で進むよう育てます。
・サドベリー教育
アメリカのボストンにあるサドベリー・バレー・スクールに共感し運営している学校の教育理念です。
子どもの興味関心に沿って行動できるように決まったカリキュラムが存在しません。
好きなことを好きなだけ追求できるよう、主体性を考慮した自由度の高い環境を作っています。
・フレネ教育
フランスの教師セレスタン・フレネが自身の勤める公立学校で始めた教育です。
「自由な学び」「子ども主体」をベースに子どもの個性、主体性を伸ばします。
学習の主軸は身近なものをテーマにした作文で、作った作文も補足などして教材にします。
こうした過程で子供たちは新しい課題を発見し、自由な学びを展開していくのです。
・イエナプラン教育
ドイツの教育学者ペーター・ぺーターセンが提唱し、オランダで広がった教育です。
「自律と共生を学ぶ教育」と定義され、異年齢学級をファミリーグループとし、「対話」「遊び」「仕事(学び)」「催し」の4つを基本活動を軸にしています。
「ワールドオリエンテーション」という子どもの問いから探求的に学びを深める総合学習の時間があり、イエナプランのハートといわれています。
ちなみに大日向小学校は日本初のイエナプランスクールです。
7つの種類のオルタナティブ教育について説明しました。
すべての教育に共通しているのは
・子どもが「主体的に」学ぶこと
・「個性を伸ばす」こと
「子ども」がどうしたいか?が常にあるような気がします。
テストや受験のための受け身の勉強ではなく、自分がどうしたいか?を考えながらそれに繋がる学びを自ら進めることは教育の本来の姿ではないでしょうか?
教育の理想はわかるけど、保護者自身も当たり前に一般的な公立学校に通っていた身としては実際にオルタナティブ教育の世界に飛び込むのはとても勇気がいるものです。
我が家はほぼ勢いで移住までしてしまいましたが、大切な子どもの将来がかかっているので、検討するにしてもリアルなメリットデメリットを知りたいですよね。
そこで、実際にオルタナティブ教育の小学校に通わせてみて私が思ったオルタナティブ教育のメリットデメリットを紹介します。
メリット
・考える力や主体性が身につく
・個性や多様性を尊重できる
・コミュニケーション能力や生きる力を育める
それぞれ詳しくみていきましょう。
・考える力や主体性が身につく。
オルタナティブ教育では子ども自身でやりたいことを選んで決めて、学ぶので主体性が身につきます。
大日向小学校では年間を通して開催される行事も子どもたちが考えます。
例えば「運動会」は競技の内容やルールなど子どもたちで考えるし、当日の進行などもすべて子どもたち自身で行います。
また、競技の参加に関しても自由です。
たくさんある競技の中からいくつか選んで参加しても良いし、全部参加してもOKですし、逆に参加しない自由もあります。
誰かに強要されるわけではなく、自分で考え、行動することが当たり前になっています。
・個性や多様性を尊重できる
様々な事情があってオルタナティブ教育を選択する人もいるせいか、個性豊かな子がたくさんいます。
その中で毎日過ごすので自然にお互いを尊重しています。
「ともに生きる」
という言葉は常に子どもの口から聞いていました。
対話をとても大切にしていたので、朝はサークル(円)になって対話で始まり、帰る前にも対話をして1日が終わります。
お友達同士でトラブルがあった際も対話を通して解決に導いてくれます。
常にお互いを認めて接しているからか、発達に事情がある子もいましたが「障害」とか「おかしい」という意識はなく、自分と違う「個性」として尊重し認め合ってました。
・コミュニケーション能力や生きる力を育める
日頃から対話をしているし、人前で発表する機会もたくさんあります。
そのため、コミュニケーション能力はもちろん、自分の意見を言葉にすることもできるし、生きる力が身に付きます。
大日向小学校の「修学旅行」もまず開催するかどうかから皆で話し合います。
そして、旅行先を決めるために行きたい場所の予算に見合うプランを皆の前でプレゼンします。
行程にちゃんと学びが入っているか?など考慮した上で子どもも大人も皆で投票して、旅行先が決まります。
泊まるホテルや観光場所のルート、食事処などの選定、予約、交渉すべて子どもたち自身で行います。
次に私が思うデメリットを紹介します。
デメリット
・文部科学省の認可校が少ないし、費用がかかる
・クセが強い保護者が多い
・卒業後の進路に不安がある
それぞれ詳しくみていきましょう。
・文部科学省の認可校が少ないし、費用がかかる
一般的に公立小学校中学校に行くことが当たり前になっているため、そもそも、オルタナティブ教育の学校が近くにない場合が多いです。
また、そこがフリースクールとなる場合は文部科学省の認可がないので、公立学校に籍を置きながら通うことになります。
そのため不登校扱いになったり、公立学校との連携が必要だったりと面倒なことも…。
我が家も当時住んでいた県内にフリースクールはあっても、オルタナティブ教育の一条校はありませんでした。
そのため移住を伴う決断だったので、何度も話し合ったり、かなり時間をかけて悩んだものです。
もちろん私立の学校だったので学費も高く、家計に大きな負担がかかっていました。
・クセが強い保護者が多い
私も人のことを言えないと思いますが、「オルタナティブ教育」を知っているというだけでも未だマイノリティな中、それを選択して実際に学校に子どもを通わせる保護者というのはだいたいクセが強いです。
想いもとても強いので、学校側が子ども同士の解決を・・と見守っていても、保護者が黙っていない場合が多々あります。
逆に言えば、保護者が主体となるプロジェクトもあるし、子どもを中心に教員も保護者も一緒になって支えるしくみがあるので、メリットでもあるんですけど。
・卒業後の進路に不安がある
オルタナティブ教育の学校はほとんどが小学校中学校のため、高校となると数がかなり減ります。
今はオンラインを駆使した多様な学校もあるけど、高校への進学を考えた際、一条校への入学などを検討すると、全く違う環境となるので子どもが対応できるか?という不安が残ります。
我が家も二人とも小学校卒業後、地元の公立中学校への進学を決めましたが、環境が全く違うので不安は大きかったです。
宿題もテストも集団授業もなく、比較的自由な環境にいたので、公立中学校でやっていけるのだろうか?と何度も子どもと話し合いました。
ここまで、私が思うメリットデメリットをご紹介しましたが、子どもたちを通わせていた5年間は良いことばかりではありませんでした。
個性の強い息子はお友達や教員とのトラブルも多く、その度に学校に出向き私も含めて対話したり…と何度も大日向小学校に留まることを悩んだりもしました。
それでも、大日向小学校には感謝の気持ちでいっぱいですし、ここに通わせてよかったと心から思っています。
オルタナティブ教育を受けたことで子どものみならず保護者である私の人生の幅も広がったからです。
今回は我が家の経験を通して「オルタナティブ教育」の特徴についてご紹介しました。
*「オルタナティブ教育」とは「主体性を重んじる教育」、「子どもの個性を活かす教育」など独自の理念をもった教育のこと。
*オルタナティブ教育は7種類!
①シュタイナー教育
②モンテッソーリ教育
③レッジョ・エミリア教育
④ドルトンプラン教育
⑤サドベリー教育
⑥フレネ教育
⑦イエナプラン教育
*オルタナティブ教育のメリットデメリット
【メリット】
・考える力や主体性が身につく
・個性や多様性を尊重できる
・コミュニケーション能力や生きる力を育める
【デメリット】
・文部科学省の認可校が少ないし、費用がかかる
・クセが強い保護者が多い
・卒業後の進路に不安がある
一般的な学校教育に慣れていると、オルタナティブ教育は異質なものに思えてしまうものです。
時代は少子化で技術の発展が目まぐるしいし現代、教育を見直すべきという声をよく聞きます。
私は子どもを中心において生きる力を育てるオルタナティブ教育がヒントになり、新しい教育の在り方が確立してくことを願っています。
オルタナティブ教育に興味を持っていただき、大切なお子さまと向き合う時間が増え、その子に合う教育とは・・と考えるきっかけになれたら嬉しいです。
ご覧いただき、ありがとうございました。
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